投稿者：倉太人舟 さん

「次の日の早朝、カレーの港を出航した私は、巡航速度で北向きの針路を進んでいた。大陸から『呪われた島』までは最短で34クリメライほど。夕刻前には余裕で辿り着くはずであった。正午を過ぎ、航路も半ばに差し掛かった頃、嵐の結界（たいりくふうされい）がその本性を現し始めた。パイから頭を突き出したニシンの如く、深海の子鬼群が海面から顔をのぞかせ牽制を仕掛ける。吹き荒れる風に煽られた水面は至る所で渦巻く回転兵器…